誰でもアンケートやSNSを分析できるテキストマイニングツールの使い方
アンケートやSNS、口コミなどのリアルなユーザーの本音がわかるコメントは、マーケティングにおいても重要です!でもテキストのデータをどうやって集計して分析するか。ここが大きな課題ではないでしょうか。
コメントを1件ずつ地道に見る方法もありますが、件数が多くなるとさすがに無理があります。こんなとき、テキストマイニングツールを使う方法が有効です!
テキストマイニングツールを使えば、大量のテキストデータを自動で分析できます。例えばある製品について好意的なコメント・否定定期なコメントの比率を出したり、具体的にどんな点で話題になっているかも把握できたりします。他にも否定的な意見の多いユーザーを分析してクレーム対策に役立てる、なんて使い方をしている企業もあります。
最近は手軽に使えるテキストマイニングツールが増えていて、専門家に依頼せず社内でテキストマイニングができる環境が整ってきました。そこでテキストマイニングについて代表的なツールとその使い方、どんなときに活用できるかをまとめました!
Contents
まずはテキストマイニングの基礎知識を知っておこう
テキストマイニングとは、テキストデータ(文字情報)の出現頻度や関連性を分析することです。ちなみにマイニング(Mining)は「発掘する」という意味です。
具体的には、大量のテキストデータの中から商品名(もしくはサービス名や企業名など)を抽出し、他にどんなワードと一緒に使われているかを分析します。「商品名 おいしい」「商品名 かっこいい」みたいな感じですね。つまりその商品がユーザーにどう思われているかを知ることができるというわけです。
こうしたテキストデータは手作業で分析するのは厳しいですよね。含まれている単語をカウントするだけでも相当時間がかかります。でもテキストマイニングツールを使えば自動で単語をカウントしてくれるので、数値化して結果を見られる点が大きなメリットだと思います。
テキストマイニングといえば、アンケートや問合せフォームの自由記述項目を分析するという使い方が一般的でした。でも最近では、マーケティングのためにネットの口コミやSNSの投稿を分析するという使い方も増えています。ネットの書き込みを分析することは市場調査になりますし、潜在的なニーズや問題の発見にもつながります。
テキストマイニングツールで何ができる?基本的な使い方とは
テキストマイニングツールの種類によってできることは違いますが、だいたい共通しているのが「単語の出現頻度や関連性を見る」「センチメント分析をする」という2つの使い方です。
(1)単語の出現頻度や関連性を見る
文章を単語に分割して、単語の出現数をカウントするというのが、テキストマイニングツールの最も基本となる機能です。出現数が多い単語を見れば、どんな話題が多いかがわかります。
例えば時系列で単語の出現数を見て、急激に出現数が増えている単語をチェックするという使い方もあります。急激に出現数が増えていれば何かしら話題になっているということ。バズっているか炎上しているか…いずれにしても単語の出現数の動きを追えば、状況をすぐに把握できるというわけです。
単語の出現数を数値化するだけではなくて、「ワードクラウド」や「ワードマップ」のようにビジュアル化してくれるテキストマイニングツールがほとんどです。「どんな話題が多いか」「どんな単語の組み合わせが多いか」が一目でわかるというメリットがあります。
(2)ポジティブ・ネガティブがわかるセンチメント分析をする
センチメント分析とは、ユーザーの感情に関する分析を行うこと。ポジネガ分析とも呼ばれます。例えば「商品Aはすごくおいしい!」「商品Bはまずい」といった文章をもとに、その意見がポジティブなのかネガティブなのかを判別して分析するという手法です。
センチメント分析によって、商品のリアルな感想やどんなイメージを持っているかが見えてきます。分析結果をもとに商品改良を行ったり、マーケティング・ブランディング戦略の効果測定に役立てたりという使い方もできます。
ただし日本語の場合、ポジティブ・ネガティブの判断が難しいことも。例えば「ヤバい」という表現は、ポジティブとネガティブの両方に使われます(世代にもよりますが)。そのためテキストマイニングツールによっては精度があまり高くないこともあります。
専門知識がなくてもOK?手軽に使える無料テキストマイニングツール
テキストマイニングをはじめたい!という場合、まずは無料のテキストマイニングツールで試してみるのがおすすめです。有料のテキストマイニングツールとなるとそれなりにコストがかかりますし、導入するには時間がかかります。
まずは無料のテキストマイニングツールで、どんな使い方ができるか知っておいた方がいいでしょう。ここでは代表的な無料テキストマイニングツールを2つピックアップしました。
Webブラウザで手軽に使える「AIテキストマイニング by ユーザーローカル」
https://textmining.userlocal.jp/
アクセス解析サービスなどを手掛けるユーザーローカル社が提供している、テキストマイニングツールの無料版です。誰でも1回あたり10,000文字まで、テキストマイニングを行うことが可能。無料とはいえ単語の出現頻度数一覧やワードクラウドが見られるほか、センチメント分析もできるのでかなり機能としては充実していると思います。
対象となるテキストデータを用意して、フォーム入力もしくはアップロードするという使い方です。ExcelやCSVデータのままアップロードできるので、自社で集めたアンケートや問合せのデータを分析する使い方に向いていると思います。
ユーザー登録をすれば無料でもカスタマイズや過去のテキストマイニング結果の保存などができるようになるそうです。
(2)無料なのに高機能!字数制限なしの「KH Coder」
「KH Coder」は立命館大学の樋口耕一准教授が開発・配布しているテキストマイニングツール。フリーソフトなので無料でダウンロードして利用することができます(現状ソフトとしてはWindows版のみ)。無料でありながら、高機能のテキストマイニングツールとして知られている存在です。
「KH Coder」はユーザーローカルの無料版AIテキストマイニングと違い、文字数の上限がありません。そのためデータ量が多くてもテキストマイニングができるメリットがあります。
もともと研究用のツールなので、一般ユーザーが使うにはわかりづらいところもあります。またセンチメント分析をするには自分でルールを作成して登録する必要があり、難易度は高めと言えます。使いこなすには、公式サイトにあるチュートリアルやQ&Aなどを活用しましょう。
テキストマイニングツールの使い方を知れば、マーケティングに活用できる
テキストマイニングツールを使うと、実際どんな効果があるのか?というところも気になるところではないでしょうか。そこで事例を2つ紹介します。
テキストマイニングの使い方:事例1 化粧品メーカーが商品開発に活用
ある化粧品メーカーでは、SNSにある自社製品のコメントや他社製品のコメントをテキストマイニングツールで分析しました。その結果「ここが使いづらい」「ここがもっと改良されればいいのに」というような、潜在的なニーズが見えてきたそうです。この分析データをもとに新商品の開発を行った結果、ヒットにつながったと言います。
テキストマイニングの使い方:事例2 医薬品メーカーがユーザーサポートに活用
ある医薬品メーカーでは、テキストマイニングツールを使って自社製品に関するコメントを分析したところ、自社製品について正しくない情報が広まっていることが判明しました。そこで自社サイトに製品に関するQ&Aを掲載したり、SNSで積極的に情報を発信したりして、正しい情報が広まるよう対策を行ったそうです。
テキストマイニングは商品開発や販売戦略といったマーケティングのプランニングにも使えますし、クレーム対策や解約防止策などサポート系の業務にも役立つ可能性があります。
慣れるまで多少時間がかかるかもしれませんが、ツールをうまく活用してチャレンジしてみてください。