顧客獲得に役立つホワイトペーパーマーケティングの活用法

顧客獲得に役立つホワイトペーパーマーケティングの活用法

ホワイトペーパーマーケティングとはコンテンツマーケティングの種類の1つで、主にBtoBの顧客獲得や顧客育成(リードナーチャリング)に効果的とされているマーケティング手法です。

ホワイトペーパー自体は用語集や事例集など様々な形式があり、配布の仕組みもWebからのダウンロードだけでなく、メルマガ内のURLから手に入れるなどの色々な方法があります。しかし重要なのは形式や配布の仕組みよりも、ユーザーにとって本質的に役立つコンテンツをいかに作るかという戦略の部分。コンテンツマーケティング全般に共通する話ですが、この部分を「ホワイトペーパーマーケティング成功のための注意点」としてご紹介ていきます。

コンテンツマーケティングやリードナーチャリングの基本情報については、それぞれ以下の記事で紹介しています。

ホワイトペーパーマーケティングの基礎知識

ホワイトペーパーとは

ホワイトペーパーはもともと英国政府が発行していた公式外交報告書の表紙が白かったため、それを通称”WhitePaper(ホワイトペーパー)”と呼んでいたそうです。細かい歴史の背景はWikipedia等の他記事に解説を譲るとして、企業間で使われるホワイトペーパーといえば、要するに「企業がユーザーとのコミュニケーションを取るための資料」とご理解下さい。

ホワイトペーパーマーケティングとは

ホワイトペーパーマーケティングとは、企業のサービス紹介資料、ノウハウ資料、ハウツー資料、事例資料など、企業の発行する資料全般を指して使われます。これらの資料を自社Webサイト上でPDFや電子ブックの形で公開し、その資料をユーザーがダウンロードする際に各種の個人情報(会社名、名前、Emailアドレスなど)を入力してもらうことで、潜在顧客を見込み顧客へと転換するアクションへとつなげます。ホワイトペーパーを使ったリード獲得やリードナーチャリングなどの一連の活動を、ホワイトペーパーマーケティングと呼びます。

ホワイトペーパーマーケティングと相性の良い商材

ホワイトペーパーマーケティングでは、ユーザが自社の発行資料を元に検討を行うため、以下のような商材・業種と相性が良いと言えます。

  • 検討に時間のかかる商材
  • 高額な商材

上記に当てはまるものとして、例えば建築業や保険業などが挙げられます。こうした商材では、ユーザにとって不安な内容や一人の決断で決められない内容も多く、複数人で吟味できるホワイトペーパーが効果を発揮します。

代表的な4種類のホワイトペーパー

用語集

用語集は最も作りやすいホワイトペーパーの1つです。ホワイトペーパー版の用語集を作成する際のターゲットは、その分野にあまり詳しくない方、その分野の基礎をもっと知りたいと思っている方がメインターゲットです。自社が属する業界の用語集であれば、比較的作成が容易なホワイトペーパーです。ただし、Wikipediaのように情報のみの簡素な用語集を作るのではなく、自社でしか作れないようなクオリティの高い用語集を作った方がユーザーの満足度は高くなり、結果として多くの方に読まれ、見込み顧客の獲得に貢献します。

Freee株式会社さんが運営している経営ハッカー上で提供しているホワイトペーパーの一つに「永久保存版!勘定科目完全ガイド」があります。最低限押さえておきたい勘定科目6選や、勘定科目を丁寧に説明した勘定課目大辞典など、勘定科目に関する幅広い内容が収められたホワイトペーパーです。

調査レポート集

ホワイトペーパー版の調査レポートを作成する際のターゲットは、マーケットなどの実態の把握を求めている方や、調査レポートの分野そのものに興味を持っている方がメインターゲットとなります。自社でリサーチ課題を抱えていることは重々承知しているものの、そのための調査を組織的に行うためのスキルや経験がない担当者に対して効果的なホワイトペーパーです。実際に足を運んで情報を集めたり、電話を使ったアンケート調査を行うことで、用語集と比較するとコンテンツの価値が高い資料となります。

株式会社エコンテさんが提供しているホワイトペーパーの1つに、「コンテンツマーケティング調査レポート」があります。コンテンツマーケティングをすでに実施している企業担当者、これから導入を検討している企業担当者向けに、600名のコンテンツマーケティング担当者の現状や課題をヒアリングして整理したホワイトペーパーです。Web上でまずはスライドの形で提供し、興味を持ってくれたユーザー向けにより詳細な情報が詰まったPDFを提供する流れを作っています。

ノウハウ集

ノウハウ集としてのホワイトペーパーは、その名の通り各種サービスやツールの使い方を分かりやすく説明する役割を持ちます。例えばですが、「マーケティングオートメーション時代に必要な15のKPI」や「GoogleAnalyticsタグの設置方法」など。よって、ターゲットユーザーは特定の課題の解決方法や、現場ですぐに使えそうなノウハウを探している方です。誰でも書ける表面的なノウハウやハウツーではなく、企業独自の経験に根ざした話がベースになっているノウハウ集は、ホワイトペーパーとして価値の高い資料となります。そういった資料には固定のファンが付きやすく、自社の見込み顧客へと育てやすいユーザーを獲得するのに役立ちます。

株式会社ガイアックスが提供しているホワイトペーパーはBtoBのマーケティングに役立つノウハウをまとめたTIPS集や資料が無料でダウンロードできるサイトです。多い月で100件ほどのダウンロードがされているそうです。

事例紹介集

事例紹介としてのホワイトペーパーは、商品を比較検討しているユーザーがメインターゲットとなります。実際にその商品やサービスを導入する前に、今までにどのようなユーザーが導入したかの事例を知ることで、自社にとって本当に導入すべきか否かを擬似的に体験するための資料です。事例紹介はWebサイトにページとして掲載することも多いですが、全ての事例を掲載せずに、一部をホワイトペーパーにしたり、事例の一部を掲載し全文はホワイトペーパーにしてユーザーにダウンロードさせるアプローチする方法もあります。

株式会社大塚商会さんの「成功導入事例ページ」では、業種・業界、業務・部門、ITインフラの活用事例など様々な切り口で成功事例を紹介しています。また、それらの事例を更に詳細に説明した資料を用意しており、リードの情報と引き換えにホワイトペーパーをダウンロードさせる仕掛けを作っています。

ホワイトペーパーマーケティング成功のための注意点

ターゲティングとテーマ設定

ホワイトペーパーマーケティングの注意点として、まずはターゲットの選定から考える必要があります。「誰の」「どんな悩み」に着目して、「どうやって解決する」のか。想定するターゲットユーザーによって、取り扱うコンテンツの範囲や深さが変わってきます。

ホワイトペーパーを作成する際は、あくまで上述のユーザー本位のコンテンツを作ることを心掛けましょう。ユーザーが抱える悩みを解決しますと説明しつつ、単なる自社の商品紹介やサービス紹介に終わってしまうようなホワイトペーパーは誰からも読まれなくなってしまうからです。それではユーザーとの信頼関係も構築できず、本来の目的であるユーザーの獲得やリードナーチャリングからは遠ざかってしまいます。

コンテンツの企画と構成

ターゲットとなる読者とテーマ設定の次は、コンテンツの中身・構成を考える番です。上述した「代表的な4種類のホワイトペーパー」をもとに、どういった形式でコンテンツを取り揃えていくのか。例えば、調査レポート集であればまず明確な数字やファクトデータなどが必要になってきます。自社で調査・集計するスキルや組織体制があれば1次情報を集めた方が価値が高くなりますが、すでに行政機関が発表している統計データなどの2次情報をもとに、業界情報、市場分析を行ってまとめる手法でも価値を出すことは十分にできます。

大切なのは競合他社と比較して、どのようにコンテンツを編集していくかという部分になります。どの企業でも作れそうなコンテンツには、ユーザーは興味を示してくれません。せっかくホワイトペーパーをWeb上に掲載しても、誰もダウンロードをしてくれないでしょう。自社内に散らばる経験や知恵を集めて、それらを紡ぐ形で競合との差別化を図れるコンテンツを企画しましょう。

ライティングリソース

自社の見込み顧客となりうる担当者の悩みを一番理解しているのは、自社の社員であることは間違いありません。クラウドソーシングでもライターを雇うことは可能ですが、顧客の悩みを解決したいという想いの強さは社員の方が勝ることは説明するまでもないと思います。最終的にユーザーに読まれる魅力的なホワイトペーパーを作成するためには、社内関係者のリソースを上手く確保して、外部リソースと併用しながらコンテンツ作成を進めていくことが理想です。

どうしても社内でライティングリソースを確保できない場合は、クラウドソーシングを活用しましょう。ただし、そういった場合でも、外部ライターにライティング内容を丸投げするのではなく、想定ユーザー像・タイトル・キーワード・要旨・読み手に期待するアクションなど大枠のストーリーだけはこちらで作成をして、その条件に沿ってライティングをしてもらうだけでも、アウトプットクオリティは改善されます。

ホワイトペーパー配布の仕組み

ホワイトペーパーが完成したら、それを公開することになりますが、公開方法はWebに掲載してダウンロードしてもらう以外にも様々な方法があります。例えばですが、メールアドレスを登録してもらいメールマガジンを登録者に送り、そこにダウンロード用のURLをつけて案内するやり方などがあげられます。

上記の方法でメールアドレスを登録してもらう際には、社名や担当者名、部署名、肩書、連絡先などを記入してもらいましょう。ダウンロードしたユーザーに対して、後から追加の資料を送付するなどのアクションが取れるからです。

まとめ

以上のようにホワイトペーパーマーケティングを上手く活用できれば、毎月定期的に新規の顧客を獲得することができます。そのためには、上述したように「ターゲティングとテーマ設定」や「コンテンツの企画と構成」など、戦略的な意図を持って作り込むことが大切です。自社のノウハウをうまく活用してリードナーチャリングへ挑戦したい方は、この記事を参考にぜひ取り組んでみてください。

なお、ホワイトペーパーの作り方については「読んだら話が聞きたくなるホワイトペーパー(ebook)の作り方」で詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。