増やすべきはリピーター!Webマーケで顧客ロイヤルティを数値化する方法
Webマーケティングにおいても新規ユーザーの獲得だけではなく、一度コンタクトしたユーザーをいかにリピートさせるかを重視するのがトレンドになってきていますよね。
そこで注目されているのが「顧客ロイヤルティ」。ロイヤルティ(loyalty)とは日本語で一般的に「忠誠心」「愛着心」と訳されるもの。自社ブランドやプロダクトへの信頼度が高く、他社のプロダクトがあるにも関わらず自社プロダクトを気に入っていて選んでくれる行動心理のこと。いわゆる「ファン」に近いですね。
Webマーケティングにおいても、コンテンツやサポート体制などの面でユーザーに信頼されるための施策に取り組み、顧客ロイヤルティを向上させようというところも増えています。ただし顧客ロイヤリティが前月よりどのくらいアップしたのか、他社と比べて高いのか低いのかなどを測っていくには、顧客ロイヤルティを数値化する必要があります。
とはいえどのくらい熱意のあるファンかということを数値化するのは難しいですよね。ここは顧客ロイヤルティが持つ課題のひとつと言えるでしょう。
そこでWebマーケティングにおいて、アクセス解析で顧客ロイヤルティに関わる指標について考えてみます。さらに最近マーケティング業界でよく使われている顧客ロイヤルティを測る指標「NPS」についても解説します!
Contents
なぜWebマーケティングにおいて、顧客ロイヤルティが重要なのか
ユーザーがプロダクトやサービスを選ぶとき、たいていは「性能の高さや品質」や「価格の安さ」「安心感」といったポイントを気にするのではないでしょうか。ただ最近では性能や価格ではなかなか差別化しづらいのも事実。そこで企業やブランドに対する安心感や信頼感、デザインやコンセプトへの愛着といったところが重視されてきています。
例えばAppleやStarbucksといった企業には熱狂的なファンが多く、価格が他社より高くても購入してくれる人たちがたくさんいます。こうした企業はいち早く顧客ロイヤルティの向上に取り組み成果を上げています。
月額制のようなサブスクリプションモデルが増えていることも、顧客ロイヤルティが注目される理由のひとつですね。サブスクリプションモデルの場合、ロイヤルティが低くなれば解約率も上がり、売上が減少していきます。売り切りモデルと比べ、契約維持のためにロイヤルティを上げていく必要性が高いと言えるでしょう。
またSNSなどによる口コミの影響力が高いということも大きいですね。ロイヤルティが高いユーザーは継続して自社のプロダクトを利用してくれるだけではなく、周囲に自社プロダクトをリコメンドしてくれます。SNSの影響力が急速に高まっている今、SNSを通じた口コミがユーザーの行動に大きく影響する時代になりました。つまり顧客ロイヤルティが高い人が多いほど、SNSで好意的な口コミが広まりやすくなっているというわけです(逆にマイナスの口コミも広まりやすいということもありますが)。
アクセス解析で顧客ロイヤルティを測る方法
LTVを見る
ECサイトなどWebサイトと売上が直結しているなら、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)という指標を使うこともあります。LTVは1人のユーザーが自社とつながりがある期間に企業が得られる収益の総額を表します。
LTVの計算式 = 購入金額×購入頻度×継続期間
ロイヤルティの高いファンなら購入頻度や契約継続期間が長いため、LTVも高いはずという考え方です(一方で「やめるのが面倒だから継続している」なんて理由も考えられますので、「LTVが高いからロイヤルティが高い」とは言い切れないという意見もあります)
リピートユーザーの動きを見る
売上と直接つながらないようなWebサイトになると、LTVを指標として使うのはちょっと厳しいかもしれせん。そこでまずはWebサイトのリピートユーザーかどうかという視点でアクセス解析してみましょう。もちろんリピートしているからといって、ロイヤルティが高いとは言い切れません(ネガティブな理由でリピートしているかもしれませんので)。ただリピートしている以上、ある程度Webサイトに対して思い入れがあるという考え方もアリだと思います。
Googleアナリティクスでは、新規ユーザーとリピートユーザーを区別してみる機能があります。実際にはGoogleアナリティクスのメニューにて「オーディエンス>行動>新規顧客とリピーター」から見ることができます。
サイト全体として新規かリピーターかの割合を「リピート率」として見るのが基本。それ以外にも、新規ユーザーとリピーターユーザーをそれぞれセグメントして、アクセスしているページやコンバージョン数などに差が出ているかどうかチェックしてみましょう。
※Googleアナリティクスでは、新規顧客とリピーターの定義がやや特殊でわかりづらいという特徴があります。あらかじめ以下の参考記事などをもとに、定義をおさえておくことをおすすめします。
参考記事:https://webtan.impress.co.jp/e/2012/07/05/13119
エンゲージメントという考え方では、サイトの滞在時間で区切って分析するケースもあるようです。ただ滞在時間でセグメントを分けるのは難しいため、Googleアナリティクスの場合デフォルトで用意されている新規とリピーターというセグメントで見たほうがわかりやすいと思います。
SNS分析を行う
またGoogleアナリティクスではありませんが、SNSを分析して口コミの動向を知る、という方法もあります。「ソーシャルリスニング」と一般的に呼ばれる方法では、TwitterやFacebookといったSNSにおける全ユーザーの投稿の中から、自社ブランドやプロダクトに関する投稿を分析します。
例えば社名やプロダクト名と一緒に「欲しい」「よかった」というようなポジティブワードが使われている投稿が多ければ、ロイヤルティが高いとみなすようなイメージですね(実際の分析はもっと細かい設定をします)。反対にネガティブなワードが使われている投稿を分析して、ロイヤルティをアップさせるための戦略に役立てるなんて使い方もあります。
今注目される、ロイヤルティを測る指標「NPS」とは?
リピート率やLTVはお伝えした通り、ロイヤルティそのものとはズレがある可能性もあります。そこで知っておきたいのが、最近ロイヤルティを測るために使われることが多い「NPS」という指標です。
NPS(Net Promoter Score)は、どのくらい企業やブランドへロイヤルティがあるかを数値化するもの。具体的には「あなたはこの企業(もしくはブランド、プロダクト)を周囲の人に推奨しますか?」という質問をユーザーに行い、その度合いを0から10までの11段階で評価してもらいます。この評価をもとに数値化していくという仕組み。
NPSでは11段階の評価を3つのタイプに分類して数値化します。シンプルなアンケート調査で結果が得られるため導入しやすく、日本でもここ数年で利用が広がっているようです。
NPSと似た指標として「顧客満足度」がありますが、NPSはユーザー自身が満足しているかではなく「ユーザーが他の人にリコメンドするか」というところにフォーカスしているのが大きな違いです。
顧客満足度はその時点で満足しているかどうかを聞いているため、将来愛着が継続するかどうかはわかりません。一方でNPSは将来的に他人にリコメンドするかを聞いているため、将来の愛着が継続するかということと関連性がある、という考え方です。実際NPSが高い企業は競合他社よりも成長率が高いという調査結果もあり、NPSには企業の業績と相関関係があることが証明されています。
例えば日本でも民泊で最近利用が進んでいる宿泊先のシェアリングサービスを手掛ける「Airbnb」。マス向け広告よりも利用者の口コミや紹介を活用して成長を続けるAirbnbでは、NPSを重要な指標として分析しているそうです。
Webマーケティングではアクセス解析だけでは見えない指標もある
ユーザーの行動が今は大きく変化している時代。Webサイトのアクセス解析で見ているPVやコンバージョンといった指標だけでは効果測定しきれないというケースも出てきています。顧客ロイヤルティを見ていく場合にも、リピート率などアクセス解析でわかる指標をまずはおさえつつ、NPSなど顧客ロイヤリティを数値化した指標も取り入れる必要があります。アクセス解析をベースに、幅広い効果測定の方法を検討しましょう!