B2BとB2Cで違う!コンテンツマーケティングの目的と時間
同じコンテンツマーケティングでも、B2BとB2Cではターゲットユーザーの特徴、コンテンツ作成のポイント、求める成果の指標が異なります。『意思決定やコンバージョンまでのスピード』をイメージすると分かりやすいのですが、企業の担当者のように組織に所属している方と、一般ユーザーとしてサイトを閲覧している方とでは上記のスピードが全く異なります。
ターゲットの特徴が異なるということは、それに合わせたマーケティングプランが必要になるということです。これはコンテンツマーケティングに限らず、マーケティングの基本となる戦略だと言えます。まずはB2Bのコンテンツマーケティングの構築でおさえておくべきポイント、次にB2Cのコンテンツマーケティングの構築でおさえておくべきポイントを見ていきましょう。そして最後に、どちらにおいても重要となる「ペルソナとカスタマージャーニー」について確認をしていきます。
Contents
B2Bのコンテンツマーケティング
B2Bターゲットユーザーの特徴
- BtoB取引において、92%の企業は製品/サービスの購入前に ネットリサーチを行う。
- BtoB取引の情報源は、営業担当者30%に対して、企業Webサイトは50%
- BtoB企業は買い手企業が購買意思決定プロセスの60%をサプライヤーに連絡する前に済ませている。
引用元:「B2Bコンテンツマーケティングの事例と設計」
つまり、B2Bのターゲットユーザーは製品やサービスの購入を意思決定する上で、WEB上にて必要な情報を自ら集めて比較しています。その上で、意思決定者が複数いることもあり、基本的にB2Bのコンテンツマーケティングにおいては意思決定に時間がかかるということを想定しておく必要があります。情報を探しているのが社長でない限り、どの企業も同じでしょう。担当から順番に上席に稟議を上げていくことになります。
B2Bコンテンツ作成のポイント
検討がすでに進んでいるユーザーであれば、コンテンツの基盤となるのは、価値、サービス、信頼に関するコンテンツです。企業規模が大きくなればなる程、サービスに対する信頼は非常に重要です。多様な角度から信頼度を醸成するコンテンツが必要になります。逆に、まだ検討がそこまで進んでいないようであれば、体系化されたホワイトペーパーや教科書的な記事など、ユーザーを徐々に育てるようなコンテンツの方が良いでしょう。想定するターゲットユーザー像をより明確に絞り込んで、コンテンツマーケティングを実施していくことが大切です。
B2Bコンテンツマーケティングの成果指標
B2B Content Marketing – 2016 Benchmarks, Budgets and Trends – North Americaによると、B2Bにおけるコンテンツマーケティングの目的は下記の通りです。
上図グラフより和訳
- 質の高い見込客へのセールス(営業):87%
- 商品・サービス販売:84%
- CVRの向上:82%
- 多くの見込客へのセールス(営業):71%
- WEBサイトへのトラフィック獲得:71%
- ブランディング:69%
- SEO対策:67%
- 契約更新率の向上:66%
- 購買意欲促進(見込客育成):64%
- 会員(加入者)の増加:62%
セールスに関わる指標が上位を占めているのが特徴だと言えます。質の良いリードを大量に獲得できるコンテンツを目指す上で、「検索意図から考えるSEOにつながるコンテンツの作り方」を参考にしてみて下さい。コンテンツマーケティングに失敗する企業に見られる傾向の1つとして、成果指標を設けずに「何となく」運営している体制があげられます。成果を明確に数字で規定し、運用を続けていくなかでそれが良かったのか悪かったのかを適宜振り返り、PDCAを回していくことはコンテンツマーケティングを成功させる上では欠かせません。
B2Cのコンテンツマーケティング
B2Cターゲットユーザーの特徴
B2CのユーザーはB2Bと比較して、ユーザーの嗜好と行動様式は多岐に渡ります。「一般的にこうだ」と特徴を括るのは非常に難しいと言えるかもしれません。後述するペルソナとカスタマージャーニー作成を通して、自社がターゲットとするユーザーを明確にしていく必要があります。ただし、意思決定者の多くは閲覧者自身であり、それ故にコンバージョンまでの意思決定が速いことは共通する特徴として上げられます。
B2Cコンテンツ作成のポイント
B2Cのユーザーは自分たちの好きなタイミングと好きなデバイス(PC、モバイル、タブレット)で、自らに合うと思われるコンテンツに気軽に接触してきます。また1件あたりのコンバージョン金額がB2Bと比較すると小さくなるため、その場で良いと感じたらコンバージョンに至るケースが少なくありません。よって、可能な限り親しみやすい文体、面白いコンテンツ、ユーザーの目を引くようなキャッチコピーを追求する必要があります。B2B向けにコンテンツマーケティングを実施するよりも、コンテンツの幅をある程度広く取る必要があるのもB2C向けのコンテンツ作成の1つのポイントです。
B2Cコンテンツマーケティングの成果指標
B2C調査によると、B2Cにおけるコンテンツマーケティングの目的は下記の通りです。
上図グラフより和訳
- WEBサイトへのトラフィック獲得:62%
- 商品・サービス販売:54%
- CVRの向上:39%
- SEO対策:39%
- WEBサイト滞在時間の向上:38%
- 顧客からの定期フィードバックの取得:35%
- 会員(加入者)の増加:34%
B2Bと違い、流入数が優先順位の1位にきていることが特徴です。これは上述の説明と重なるところがありますが、B2Cのコンテンツマーケティングの場合はB2B向けよりも幅広くトラフィックを取り、コンバージョンへと導いていく必要があるためです。
ペルソナとカスタマージャーニー作成の必要性
ユーザーと彼らの特徴を知る
B2B向けであっても、B2C向けであってもターゲットユーザーが誰なのかを知り、その上で彼らがどういったモチベーションでどう行動するのかを詳細に把握することは、コンテンツマーケティングを実践する上では非常に重要です。B2BとB2Cの「ターゲットユーザーの特徴」にてそれぞれのユーザーの特徴を大まかに説明しました。しかし、より効果的なコンテンツマーケティングを行う上では、ユーザー群で考えるのではなく、特定のユーザーに絞ってユーザー像を絞り込んでいくことをおすすめします。
ペルソナとは
特定のユーザーにイメージを絞り込まれた顧客像をペルソナと呼びます。詳しくは、「マーケティング戦略の要!ペルソナの基本と設定方法」をご覧下さい。なお、ペルソナは1人である必要はなく、場合によっては複数のペルソナを設定しても構いません。重要なのは、価値観、ライフスタイル、口癖、興味関心や悩みなどの項目を深く考えることで、自然と提供すべきコンテンツのテーマや方向性が頭の中に浮かんでくることです。細かいキーワードの戦略については別途戦略を練る必要があるもの、全てのコンテンツにブレがない軸を作ることが大切です。このペルソナを作っていく過程は、個人で取り組むのではなく、チームで取り組むことをおすすめします。それもマーケティング関連の部署だけではなく、エンジニアやライターなど可能な限り多くの関係者を巻き込むことで、会社全体として理想の顧客像を共有できます。それは、この後に説明するカスタマージャーニーにおいても同様です。
カスタマージャーニーとは
カスタマージャーニーマップとは、上記のペルソナとして設定した顧客が購買にいたるまでの流れを旅(ジャーニー)にたとえて図にしたものです。詳しくは、「カスタマージャーニーマップとは?特徴やメリット、事例の紹介」をご覧下さい。この流れを作ることで、顧客の行動や感情の変化が、目に見える形でわかります。よって、タッチポイント毎に実施すべき施策や改善点も明確になっていきます。コンテンツマーケティングで失敗してしまう企業の多くは、このペルソナとカスタマージャーニーの作成を「面倒だ」と感じて避けてしまうことにあります。確かに、ペルソナもカスタマージャーニーも作成しなくても、何となく記事を投稿していけば形にはなっていくのでメディアの運用はできます。ただし、本当にコンテンツマーケティングを成功させたければ、この作業は必ず社内で徹底しなければいけません。
おわりに
B2BとBCBのコンテンツマーケティングを構築する上で、それぞれのターゲットの特徴をもとにコンテンツ作成のポイントを見てきました。どちらが簡単で、どちらが難しいというわけではなく、それぞれが異なるポイントでコンテンツを作り上げる必要があります。コンテンツマーケティングはユーザーを軸に考えていけば、大きく方向性を間違えることはありません。
なお「今日から使える17つのコンテンツマーケティング評価指標」でコンテンツマーケティングの具体的な評価指標をご紹介しているので、合わせてご覧ください。