失敗しないマーケティングオートメーション導入とコンサルタントの役割
マーケティングオートメーションを失敗させないためには、ツールを導入する前に適切に前提条件を考えておく必要があります。ツールはあくまでツールであって、全ての問題を100%自動的に解決してくれるわけではないからです。その際力になってくれるのが外部のコンサルタントです。彼らの役割も要望に応じてそれぞれ分かれており、上手く協業すれば効率的に成果に辿り着けます。
Contents
マーケティングオートメーションを導入する前に
導入目的の明確化
をご覧下さい。リードの獲得、リードのスコアリング、リードのナーチャリングなどの基本についてご説明しています。ただし、マーケティングオートメーションを導入したからと言って、魔法のように自社のWebマーケティングの課題を解決してくれるわけではありません。マーケティングオートメーションを使って何を実現したいのかを適切に考える必要があります。
マーケティングオートメーションはその名の通り、マーケティングのプロセスを自動化してくれることにその有効性があります。「機能・価格で徹底比較!マーケティングオートメーション11選」でご紹介しているように、導入するツールによって得意・不得意やカバー範囲が異なります。何でもかんでも全てを自動化できるわけではないので、自社にとってどのマーケティングのプロセスを自動化していくのかを整理して考えましょう。
なお、マーケティング オートメーションについての基本的な情報は、「マーケティング オートメーションとは」をご覧ください。
戦略の明確化
マーケティングオートメーションはテクノロジーツールですので、顧客セグメンテーション、ターゲット顧客像(ペルソナ)や、カスタマージャーニーマップなどのマーケティング部分については自社で戦略を練る必要があります。プロセスを自動化してくれるだけであって、戦略までは考えてくれません。ところが、最も重要なのはこの戦略部分なのです。自社ターゲットのペルソナとカスタマージャーニーを理解していなければ、マーケティングオートメーションというツールを使っても成果に結びつくような適切なコミュニケーションをユーザーと行っていくことは難しいと言えます。
ペルソナについては「マーケティング戦略の要!ペルソナの基本と設定方法」、カスタマージャーニーについては「カスタマージャーニーマップの作り方と手順のまとめ」でそれぞれ詳しく解説していますが、徹底的してほしいのは自社の顧客になりうるユーザー目線でロジックを組み立てること。その戦略が明確になることで、はじめて手段としてのマーケティングオートメーションが活きてきます。
KPIの設定
戦略が明確になった後は、それをオペレーションに落として回していく準備が必要になります。具体的にはKPIの設定です。戦略を実現するための各プロセスにおいて、どういった判断基準を持って結果の良し悪しを決めるのか。どういったKPIをマーケティングオートメーションのツール内に設定して管理・改善していくのか。適切なPDCAを回すには、このKPIの設定が欠かせません。それがないと改善というアクションにつながらないので、KPIの設定は必ず行って下さい。
KPIを設定する際に重要なのが、その数値が最終的なゴール(売上であったり、利益であったり、会員数であったり)の達成に貢献しているかどうかという点です。そして、KPIはただ設定するだけではなく、毎日、毎週、毎月と振り返っていく必要があります。全てのKPIを毎日振り返る必要はありませんが、それぞれ適切な振り返り期間を設定して、PDCAを回していきましょう。
社内における専属スタッフ(専属チーム)の設置
マーケティングオートメーションを使いこなすためには、相応の知識と経験が必要になります。マーケティングオートメーションは非常に有益なツールですが、扱う幅が非常に広いため、それを使いこなせる人間がいないとお金の無駄になってしまいます。ツールの導入をしたけれどもそれきり。何となく使ってはいるけれど、上手く改善案に結び付けて考えられていない。そのような事態に陥ることがないようにきちんと専属スタッフ(専属チーム)を設置しましょう。
また、マーケティングオートメーションはWebマーケティング部門だけで完結することはありません。リードの獲得、リードのスコアリング、リードのナーチャリングというプロセスの中で、他部門と協力しながらリードを育てていく必要があります。そういう意味では、専属スタッフ(専属チーム)を設置するだけではなく、会社全体の取り組みとして重要性を周知徹底する必要があります。
マーケティングオートメーションとコンサルタント
コンサルタントの役割
マーケティングオートメーションの導入におけるコンサルタントの役割は実に様々です。ツール自体の導入だけをサポートするコンサルタントもいれば、ツール導入後の教育研修を含めて、ツール自体を適切に使いこなせるところまでサポートしてくれるコンサルタントもいます。当然ながらどこまでお願いするかで費用が全く異なってきます。
上述の「マーケティングオートメーションを導入する前に」の項目において、全て自社内で完結できているようであれば、コンサルタントへの依頼は最低限の内容だけになります。逆に、これらの戦略部分まで含めてゼロからお願いするようであれば、数百万円の費用がかかる場合もでてきます。
設計のみの依頼
制度設計のみを依頼する場合ですが、この設計部分がマーケティングオートメーション運用の胆になる部分ですので、仮にコンサルタントに外注する場合であっても社内チームとの連携は必須です。専任のスタッフ(チーム)は必ず社内に設置し、そのメンバーの教育の観点で外部コンサルタントに依頼をして設計を手伝ってもらいましょう。ここの部分をコンサルタントに丸投げしてしまうと、いつまで経っても自社内にノウハウが溜まりません。また、戦略を変える毎に外部コンサルタントに協力を得ないといけません。
設計+初期設定代行
上記の設計に加えて、各種ツールの設定まで代行を依頼するケースです。ツール自体はすでに様々なマーケティングオートメーションツールが日本に存在します。日本語対応をしているツールもあれば、日本語対応をしていないツールもあります。そういったツールの設定が煩わしいようであれば、この部分まで外部コンサルタントに依頼をすることも可能です。その際、特定のツールのみ対応してか対応していないコンサルタントの方が多いので、導入したいツールと対応可否を確認して下さい。
設計+初期設定代行+運用サポート
設定後も運用面で不安があれば、一定期間の間コンサルティングを受けることも可能です。社内にWebマーケティングに詳しい人間がいないのであれば、ツールの使い方から、そのツールを成果に結びつけるための運用ノウハウ・TIPSを共有してもらいましょう。特に、リードの獲得、リードのスコアリング、リードのナーチャリングにはそれぞれノウハウとコツがあり、正しく運用できれば自社の売上に大きく貢献しますが、非効率な運用をしていると思ったような成果が出ません。
おわりに
マーケティングオートメーションを適切に導入して成果に結び付けるには、外部コンサルタントの力によると言うよりは、いかに社内にノウハウや知見を溜めていく組織体制を創れるかが鍵になります。ツールはあくまでツールですので、それを正しく扱える専門スタッフと組織文化の醸成に力を入れていきましょう。