アクセス解析の基本とWEB改善への活かし方
アクセス解析の基本は目標とそこに至るまでのプロセスの設定にあります。それらを設定せずにGoogle Analytics上で数字を確認しても、WEB改善に活かせるようなアイデアが出てきません。よって、まずはコンバージョンとその経路の設定を行って下さい。それを踏まえてGoogle Analyticsを見ていくと、サイトの改善点が次々と見えてきます。
Contents
アクセス解析の前提条件
アクセス解析ありきの分析の弊害
解析ツールで最も有名なのはGoogle Analyticsだと言えます。無料にも関わらず非常に多くの機能が分析に使えて、中規模サイトであればGoogle Analyticsだけで十分だと言えるのではないでしょうか。また、レポーティング機能も随時改善されているので、とりあえず眺めているだけでも何かを分析したような気になってしまいます。
ところが、アクセス解析をただ眺めていても有効な解決案は出てきません。PV、セッション、直帰率などはサイトに流入したユーザーの個々の結果であり、それ自体はただの数字の羅列です。アクセス解析初心者の方が一番陥りやすいのは、いきなりアクセス解析の数字を見て、「なるほど。」「PVが増えているな(減っているな)で終わってしまうことです。
測定指標の構造化
ここに着目したGoogleが2016年9月に「Analytics Assistant」というAIによる無料の解析機能を提供し始めました。Google Analyticsの各種項目を見ても有効な施策が思い浮かばない人に対して、Googleが誇る人口知能が効的な改善案を教えてくれるというサービスです。ただし、AIによる無料解析時代の到来「Analytics Assistant」でも触れましたが、非常に面白い試みではあるものの、まだまだ実務にフル活用レベルではありません。
ではどうしたら自社WEBメディア(サービス)の改善につながる分析ができるのでしょうか。それにはまず、アクセス解析を行う前に、そのWEBメディアやWEBサービスの目標を定義する必要があります。そして、その目標を達成するまでのそれぞれのステップを設定していきます。
目標とその達成経路の設定
目標設定(最終ゴール)
WEBメディアやWEBサービスにおける狭義の目標とは、該当サイト上でのコンバージョンに当たります。ここで「狭義の」という言葉を使ったのは、多くの場合事業やサービスはオンライン上だけでは完結せずに、オフラインの活動も含めて全体としての目標があるためです。ただし、本稿ではオンライン上での活動(主にWEBサイトへの訪問)を分析し、それをWEB改善へとつなげていくことに説明を限定して進めていきます。
以上のように目標設定の意味合いを狭めて考えた場合、一般的な目標としては、
- 購入フォームでの完了。
- 会員登録の完了。
- ホワイトペーパーのダウンロード。
などがあげられます。何が適切なコンバージョンなのかは、サイトを運営していれば自ずと分かると思います。
目標到達までの経路の設定
このコンバージョン目標を達成する上で、ユーザーがどのような経路を辿ってコンバージョンするのが理想なのかを考えます。ここで考えた経路については、Google Analytics上のコンバージョン設定で追加しておく必要があります。「管理」タブの「ビュー」の中から「目標」を選択して、経路を1つ1つ設定していって下さい。例えばですが、
ランディングページに着地→商品一覧ページで品揃えを見て→商品詳細ページで金額や内容を比較検討し→カートページで詳細を決めて→エントリーフォームで情報入力→購入完了
といった流れです。
このフローを考える際に、ユーザーインタビューを同時に行えると効率的です。ユーザーがどのようなことを考えて検索し、サイトに訪れて、何を見てどう思い、最終的にコンバージョンまで進んでいくのかをインタビューで明らかにできれば、効果的な経路を設定することができるからです。
目標達成プロセスの確認
Google Analytics上で目標と目標到達までの経路を設定したら、Google Analyticsの「コンバージョン」→「目標」→「目標達成プロセス」を確認してみて下さい。設定したゴールと、それに至るまでのフローがビジュアルで可視化されて、入口と出口の人数が非常に分かりやすく把握できるようになります。また、「コンバージョン」→「目標」→「ゴールフロー」では、コンバージョンをしたユーザーを様々な切り口で確認することができ、フォーカスすべきユーザーの理解に役立ちます。
WEB改善への活かし方
それではGoogle Analyticsで目標達成に至るまでの落とし込みを終えて、具体的にどのようにWEB改善へとつなげていったら良いのかをご説明していきます。
コンバージョンへの貢献度が高いランディングページを改善する
「行動」→「サイトコンテンツ」→「ランディングページ」を見れば、自社サイトに訪問したユーザーが一番最初にどのページを見たかを知ることができます。その一覧の中から、
- 流入数が上位
- コンバージョン数も上位
- ただし直帰率が平均よりも高い
ページを見つけて下さい。このランディングページとコンバージョン数を見ると分かるのですが、パレートの法則ではないにせよ、一部のページが大半のコンバージョンを生み出していることが分かると思います。この一部のページの中から効率が悪いページを見つけ出し、改善していくことでコンバージョン数を増やしていきます。
上記で該当ページを見つけたら、セカンダリディメンションで「キーワード」を設定して下さい。ユーザーが該当ページに訪問した際に、どのキーワードで検索して訪問したかが分かります。検索キーワードはユーザーの悩みそのものなので、まずはキーワードを全て確認してみて下さい。その検索されているキーワード(悩み)を、自社の該当ページが解決できているかを実際のコンテンツを見て検討してみましょう。仮にコンテンツが不十分であれば、それを加筆修正する形でより検索キーワードに適した形でコンテンツを修正していきます。
コンバージョンへの貢献度が高いユーザーを抽出する
WEBマーケティングを行っているサイトの中には、リスティング広告やFacebook広告などの有料のWEB広告を活用されているサイトもあると思います。そのようなWEB広告の成果をより高める上で、コンバージョンへの貢献度が高いユーザーを抽出して、リストに反映させることは重要です。
Google Analyticsをコンバージョンで設定することで、ユーザー属性でその情報を知ることができます。例えば、「ユーザー」→「地域」→「地域」の項目からは、日本全国を都道府県レベルで分解して、コンバージョン数が多い地域を確認できます。また、「ユーザー」→「ユーザー属性」→「年齢」(「性別」)では、年齢と性別についてそれぞれコンバージョンへの貢献度が高いユーザーを抽出することができます。
これらをつぶさに見ていくと、自社に訪問するユーザーの中で、どういった属性のユーザーがコンバージョンをしているのかを具体的に知ることができます。それらは現在運用しているWEB広告のターゲティングの精度向上に使えるのと、自社で新規コンテンツをWEBに追加する際にも、どのようなコンテンツを追加すべきかの指針を与えてくれます。
おわりに
Google Analyticsを用いてのWEB解析は非常に有効で、上手く活用できれば自社のコンバージョンを何倍も増やすことも可能です。まずはサイトの目標を考えてコンバージョンを設定することが全ての始まりです。WEB改善を片手間でやろうとするとどうしても手を抜きがちになってしまうので、まずは毎日Google Analyticsを眺めることをおすすすめします。