ユーザビリティの課題を解決!初めてのユーザーテスト導入指南書

ユーザビリティの課題を解決!初めてのユーザーテスト導入指南書

ユーザビリティの課題を解決する上で、ユーザーテストは欠かせない手法の1つ。ただし、やみくもにユーザーテストを行っても、期待するような成果を手に入れることは難しいでしょう。ユーザーテストには実施にあたり注意すべき点がいくつもあるので、この記事ではそれらを順番に説明していきたいと思います。

なぜユーザーテストを実施するのか

なぜユーザーテストを実施するのか

そもそもユーザーテストとは

ユーザーテストとは、ユーザーにWEBサイトやアプリを実際に利用してもらい、その行動や発言を通して、ユーザーの心理を明らかにするテストです。実際にオフィスまでユーザーに来てもらい、PCを用意してテストを実施する形式もあれば、ユーザーは自宅でテストを実施し、その結果をフィードバックしてもらう形式もあります。アクセス解析のデータからでは分からない、ユーザーの本音を知ることができる手法として、ユーザビリティの課題を解決する手法として定番の1つです。

ユーザビリティとは何か

ユーザビリティとは、簡単に言うと、ターゲットユーザーにとってのWEBサイトやアプリの使い勝手の度合いのことを指します。ユーザーにとって使い勝手の悪いWEBサイトやアプリは、継続して使ってもらえません。皆さんもアプリをダウンロードして何度か使ってみたけど、結局あまり馴染めずにすぐに使わなくなった経験があるかと思います。ユーザビリティを改善するとは、その使い勝手の悪さを改善することだと考えましょう。

ユーザーテストで分かること

ユーザー視点でWEBサイトやアプリの改善点が分かります。開発者の視点で考えていると、「この機能やフローは必要だ」と推し進めていたことが、実はユーザーからは「使い勝手が悪い」と思われていた、ということも起こってきます。方向性を補正して、ユーザー視点を獲得するためにユーザーテストを実施します。また、ユーザーテストはサイト単位・ページ単位を超えた”印象”など、俯瞰的な目線でユーザーの心理を知ることができるのも大きな利点と言えます。

アクセス解析だけでは駄目な理由

Google Analyticsなどのアクセス解析ツールは、ユーザーの行動を把握することができますが、ユーザーが何を考えているのかを知ることはできません。しかしそれは、どこに問題があるのかを把握するのに、アクセス解析は効力を発揮すると言い換えられます。アクセス解析は、「どのようなユーザーが」「どういった経路を経て」「ページ内をどう回遊して」「最終的にコンバージョンしたか(しなかったか)」が、数量的なデータと共に把握することができるのがポイント。ところが、例えばあるページの離脱率が他のページと比較して異常に高かった場合、その理由を知る方法は推測しかありません。ユーザーテストを行えば、直接その理由を確認することができます。

ユーザーテストの活用方法

ユーザーテストの活用方法

自社ユーザーを理解する

上記で説明してきた内容と少し重複しますが、最もオーソドックスな活用方法は、自社のWEBサイトやアプリについて、ターゲットとするユーザーの心理を把握し、ユーザー視点を獲得することです。ユーザーの視点を獲得することは、仮説を検証する際にも、仮説を構築する際にも役立ちます。”ユーザーテスト”というと仮説を構築する方にイメージが向きがちです。例えば、ユーザーの不満や実際の行動パターンを見て、「それであればこういうバナーを作ろう」「そもそも新しいランディングページを作ろう」など。一方で、予め考えていた仮説の検証、例えば「ユーザーが離脱してしまうのは、ページ上部で説明が足りないからだ」などを確かめる目的でもユーザーテストは有効です。

チームや上席を説得する

「自社のユーザーは本音ではこう考えている」という声は、往々にしてただの数字よりもインパクトのある根拠となります。Google Analyticsなどのアクセス解析ツールをもとに議論をしていても、ユーザーの心理についてはあくまで論理の域を出ません。ユーザビリティの改善を議論していると、最終的にチームメンバーや上席と意見が分かれることがあります。そのような時に、自分たちの頭の中よりも、ユーザーの本音の方がより説得力があることは疑いようがありません。

競合サイトを分析する

競合サイトを分析するツールはいくつかありますが、ユーザーの視点で競合サイトの現状を知ることは、数値分析を補足してくれる重要な役割を持ちます。特に、自社サイトとの比較の中で、競合サイトのそれぞれの魅力や不満点を明らかにするユーザーテストを行うことで、自分たちだけでは得られない競合分析結果を手に入れることができます。

ユーザーテストの流れ

ユーザーテストの流れ

テスト計画を立てる

テストの目的、対象者、内容、実施日などを検討します。特に、ユーザーテストの目的は最も重要な検討項目です。一度ユーザーテストを実施した後は、やり直しがききません。厳密には再度ユーザーを集めてテストをするだけですが、当然ながら大きなコスト増となってしまいます。よって、まずはきちんと目的を明確にして、その目的に沿って、該当するターゲットユーザーに声を掛けて、何をどうテストしたいのか内容と実施日を決めていきます。

ユーザーリクルーティング

テストを実施するにあたり最適なユーザーを集めます。20代の女性向けファッションページについてであれば、リクルーティングするユーザー像は明確だと言えます。トップページの離脱率を改善したい、等の目的でユーザーテストを行う際は注意が必要です。漠然とユーザーに声をかけるのではなく、予めGoogle Analytics等でユーザー群を分析しておく必要があるためです。

テストフロー設計

どのような流れやシチュエーションでユーザーに自社サイトやWEBアプリを使ってもらうのかを設計します。これは例えば、「家族構成はこうで、立場はこうで、毎月●万円を使える人。その中でこういう目的で洋服を探している。」といった、テストを行う上での前提条件を設計する必要があります。

ユーザーテスト環境のセッティング

進行役、PCまたはスマホのデバイスなど、ユーザーテストを行うための準備になります。これは実際にテストを行う前提を考慮して用意して下さい。進行役の人には事前にユーザーテストの目的を伝えて、テストがスムーズに行われるようにしておく必要があります。

テスト実施

設計に従ってユーザーにテストを行います。事前準備をきちんと行っているか否かで、このテストの正否が決まるので、ユーザーから想定されるであろう質問も準備しておきましょう。また、実際にユーザーにテストを行ってもらう際には、その時頭に浮かんだことや感じたことを発言してもらうようにして下さい。後からヒアリングをするのではなく、リアルタイムでユーザーの声を拾うことで効果的な改善案が見つかりやすくなります。

ツールを使ってのユーザーテスト

実際にユーザーを招いてテストを行うのは手間と時間がかかります。それらを省くために、WEB上でユーザーを募りユーザーテストを提供している企業もあります。ユーザーテストだけではなく、A/Bテストまで含めてサービスを提供している企業も多数あるので、自社に合ったユーザーテストの実施企業を探してみて下さい。

おわりに

ユーザビリティの課題を解決する上でユーザーテストは非常に効果的な手法ですが、適切な運用をすることが何よりも大切です。なぜなら、ユーザーテストを実施するには、都度費用が必要となるからです。せっかくのユーザー視点を手に入れるチャンスを無駄にしないよう、入念な設計の上ユーザーテストに臨みましょう。