引用だけじゃない!ホームページ制作で著作権トラブルを避けるための注意点
一部のキュレーションサイトで起こったコンテンツ転用問題。他のホームページにも影響が及んでいます。ルールに従わない引用は著作権侵害にあたる可能性もあるので要注意ですが、引用以外にもホームぺージ制作にて著作権関連で気をつけておきたいことが実はいくつかあります。
ホームページ制作ではデザインとともにロゴやイラスト、画像などの素材もあわせて制作会社へ依頼して作成することもあります。納品後は自社で自由に使えるはずと思っていたら、実際は著作権の取り決めが曖昧だったためトラブルに発展することも…
そこで、今回はホームページ制作を外部に依頼するときに気をつけたい著作権関連のポイントをご紹介します!
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イラストを発注するときは事前に契約
ホームページ制作時に説明用イラストなどを新たに作成することはよくありますよね。こうしたイラストはその後他のページで使うこともありますし、インターネット以外の提案書や企画書、パンフレットなどの紙媒体にも使いたいという要望が出ることもよくあります。
そこで、イラストレーターの方へ依頼する際の契約にて「著作権を自社に譲渡する」ということと「イラストレーターの方は著作者人格権を行使しない」という内容を契約に入れるパターンが多いです。(もちろんこの想定での見積もりをもらいます)
著作者人格権は聞きなれない単語かもしれませんが、公表する権利や著作者名を表記する権利、改変しない権利などが含まれています。(著作権と違って譲渡ができないもののため、行使しないという表現になります)
参考ページ:文化庁「著作権なるほど質問箱 著作者には、どのような権利が与えられるのですか。」
著作権や著作者人格権について明確な契約が交わされていないと、後々問題になることも考えられます。なお、こうした契約を交わしていても、イラストに手を加えたりイラストをもとにした販促物を作るようなときは、事前にイラストレーターの方へ相談するべきです。
写真についても基本的には同様。ECサイトでは商品画像の撮影を外部の方へ依頼することもありますが、事前に契約にて著作権の扱いを明確にしておく必要があります。
素材集を利用するときの注意点
企業ホームページ制作のときは、イチから撮影するよりも素材集サービスを利用して写真などのビジュアルを載せることのほうが多いですよね。ただし素材集でも、購入すれば著作権を気にせず自由に使えるというわけではありません。
例えば、「アマナイメージズ」というサービスでは画像によって「ロイヤリティフリー」と「ライツマネージメント」という2つのタイプを設けています。使える期間や媒体に違いがあるので、気にしないで使っていると思わぬ追加費用が発生してしまうこともあります。素材を購入する際は、どのような使用条件か必ず確認しましょう。
ロイヤリティーフリー
一旦購入すれば繰り返し利用でき、期限もないものが一般的。ホームページ制作においてはこちらを利用するほうがコストを抑えられます。ただし独占利用はできないので、他社でも同じ画像を使っている場合があります。
サービスによっては、どの企業が使ったことがあるかを閲覧できる場合もあるので、競合他社が使っていないかなどチェックしておくと安心です。
ライツマネージメント
ロイヤリティフリーより使用条件が限定されているもの。使用期間や利用媒体を事前に決める必要があるのが一般的です。紙媒体に使う場合は発行部数によって価格が変わるという設定もあります。ホームページの場合は基本的に一旦掲載すれば載せ続けることが多いので、ロイヤリティフリーを使うケースのほうが多いかもしれません。
また最近では無料で使える素材集サイトも増えていますが、無料提供していても、著作権は放棄していない場合もあります。単純に画像をそのまま掲載するときはあまり関係ありませんが、加工して載せたいときなどはサイトの利用規約などをチェックしておきましょう。
コンテストを行うときも著作権に気をつける
フォトコンテストやコメント大賞といったユーザ投稿型の企画を開催する場合も、著作権が関係してきます。ユーザから作品を投稿してもらいホームページなどに掲載する予定があれば、募集の時点で作品の著作権ついて事前にユーザへ案内しておく必要があります。
コンテストではありませんが、少し前にあるSNSにて投稿日記の著作権の扱いが問題となったことがありました。ユーザが投稿した日記を運営者が無償で自由に扱えるというような利用規約だったのですが、批判を受けて運営側は利用規約を変更。日記の著作権はユーザに帰属することを明記しました。
こうした事例も過去にありますので、取り扱いは慎重にしましょう。
ホームページのフッターにコピーライト表記は必要?
ホームページ制作の際、フッターの要素としてコピーライト表記を載せているはず。実は日本では表記がなくても著作権自体はあるのですが、著作権を持つ所在を示すためにも載せておきたい要素です。
コピーライト表記の例)©2006-2016 example.com All right resereved.
なお、©マークのあとの年号は省略せず載せましょう。一般的には、ホームページを立ち上げた年から現在の年を表示するパターンが多いです。上記の例では、2006年からホームページが立ち上がっていることが伝わるというメリットもありますね。
年号は毎年更新しないと、かえって放置されている印象を与えてしまいます。ホームページ制作時点でフッターやコピーライトの更新方法を決めておくことをおすすめします。
まとめ
ホームページ制作で使う素材については、外部に制作または調達をお願いするケースがほとんどかと思いますが、ご紹介したようなポイントは少なくとも著作権に関連するのでチェックしておきたいところです。
著作権関連のトラブルが起こってしまうと、ホームページを閉鎖せざるを得ない状況になってしまうこともあります。さらに運営している企業の信頼問題に発展してしまうと大きなダメージとなってしまいます。なお、契約関連は社内の法務担当とも相談し、事前にクリアしておきましょう。