今のうちに理解したい!オウンドメディアのソーシャル化とは
オウンドメディアのソーシャル化自体は2012年頃から少しずつ話題になっていました。その頃はオウンドメディア上にFacebookの「いいね!」やTwitterの「ツイート」などのソーシャルボタンを追加して、ユーザーにシェアしてもらうことが主流でした。あるいは、サイドバーにコメントのタイムラインを表示してコメントを流し、単純にオウンドメディアにソーシャル機能を追加しているだけのサイトが大半で、体裁上連携させている程度のものだったと言えます。
それに対して、本質的な意味でのオウンドメディアのソーシャル化とは、オウンドメディアをハブにして多様なソーシャルメディアと連携しながら活用していくことが基本戦略となります。オウンドメディアのソーシャル化に取り組むことが決まっても、そもそものオウンドメディアの運用のポイントを外していては、効果的な成果を得ることができません。このポイントについても後半にて細かく解説してあるので是非参考にして下さい。
Contents
オウンドメディアのソーシャル化に取り組む理由
オウンドメディアとは
オウンドメディアはトリプルメディアの1つで、企業が自社で所有するメディアとなります。ユーザーにとって価値のあるコンテンツを発信し続けて、ターゲットユーザーを流入させるという意味ではオウンドメディアはコンテンツマーケティングの手法の1つと言えます。オウンドメディアについてあまり詳しくない方は、是非以下のの記事も参考にご覧ください。
SNSを用いての検索手段の増加
Snapchat(スナップチャット)ユーザーが増えていることで、若者のFacebook離れがメディアで叫ばれつつありますが、それでも依然としてFacebookの国内月間アクティブユーザー(MAU)は2500万人、その92%はモバイルからアクセスしているとのことです(2016年4月20日に東京・六本木で開催したプライベートイベント「Mobile Moves People」にてFacebook Japan代表取締役の長谷川晋氏が公表)。
また、視聴行動分析サービスを提供するニールセン株式会社が2016年5月に行ったメディア利用調査によると、Facebookを含むSNS(TwitterとInstagram)の利用時間は一日平均36分で、「SNSを検索エンジン以外の検索手段の一つとして利用していることは昨今ニュースなどでも聞かれますが、10代に限ってみるとそれは既に日常的な行動のようです。」と調査報告書内で述べられています。
GoogleがFacebook等のSNSに検索の主役の座を譲ったわけではないが、企業側からするとユーザーとの接点の場が変化していることは意識せざるを得なくなってきています。
Googleからでは拾いきれない検索ユーザー
ユーザーがGoogleを利用して検索を行う際、自分の頭の中に「疑問の答え」「問題の解決法」を知りたいという顕在的な検索欲求があります。オウンドメディアを含むコンテンツマーケティングでは、こういった顕在的な検索ニーズに焦点をあてて、サイト全体、個別コンテンツを作っていくわけです。逆に言えば、ユーザーが自分自身で理解できていない潜在的な検索ニーズについては、オウンドメディア単体では拾いきれないという限界があります。
ソーシャルメディアでは、そのようなハッキリとした「検索動機」がないユーザーとも接点を持つことができ、継続的なコミュニケーションを図ることで、ユーザーに対して徐々にニーズを喚起・顕在化していくことが可能です。その意味で、Googleの自然検索以外にもソーシャルメディアを活用していくことに大きなメリットがあります。
ハブとしてのオウンドメディア
ただし、ソーシャル上で接触できるユーザーは自社製品・サービスに対してゆるやかな関心しか持っていないので、企業側が一方的にPRをしても彼らの心には響きません。ユーザーにファンになってもらうには、彼らが興味・関心を持つようなコンテンツをオウンドメディア上で用意して、そこに招待するよう心掛ける必要があります。
このユーザー本位のコンテンツがオウンドメディアで構築できれば、オウンドメディアの新着記事をソーシャルメディア上に投稿し、そこからオウンドメディアに流入してくれたユーザーAさんがソーシャルメディアボタンで記事を拡散してくれます。また、そのAさんがシェアした記事をもとに別のユーザーBさんがオウンドメディアを訪れ、コンテンツが自分にマッチしていればファンとして継続的にオウンドメディアから情報を受け取ってくれるという流れが生まれます。
以上のように、オウンドメディアをハブにして多様なソーシャルメディアと連携しながら活用していくことが、「オウンドメディアのソーシャル化」の基本戦略となります。この基本戦略の中心にあるのは、ユーザーにとって価値のあるコンテンツがオウンドメディアに掲載されているということです。価値があると感じるから、FacebookやTwitter等のソーシャルメディアで共有してくれるのです。よって、オウンドメディアのソーシャル化はその機能を揃えることを前提に、そもそもオウンドメディアのコンテンツを作り込み、日々運用していくことが重要です。この運用のポイントについて、次に解説させていただきます。
オウンドメディア運用のポイント
潜在、顕在を問わず自社サイトにユーザーを呼び込むためにオウンドメディアを始める前に、是非一度立ち止まって考えていただきたいポイントがあります。オウンドメディアはソーシャルメディアと同様に、始めるのは簡単です。ただし、始めた後に運用も何となくで記事を投稿し続けても期待している成果を得ることはできません。
オウンドメディアを行う目的、ターゲットユーザー、コンテンツプランニング、ゴール、ユーザー体験の改善などなど、戦略的に運用を行うことで他社オウンドメディアとの差別化が図れますし、ユーザーからの支持を得ることができます。
なぜオウンドメディアを始めるのか?
オウンドメディアはWEBマーケティング戦略の1つの手段にすぎません。これは当たり前の事実に聞こえるかもしれませんが、非常に重要な事実です。オウンドメディアのソーシャル化とは、顕在の検索ニーズだけではなく、潜在の検索ニーズを取り込むことであることは説明しました。このような検索ニーズを取り込む手法として、ディスプレイネットワークや検索連動型広告等実に様々なWEBマーケティングの手法があります。
オウンドメディアの運用には、企画・マーケティングコスト、ライティングコスト、校閲編集コストなどが毎月必要になります。これらのコストと有料のWEB広告コストと比較して、本当にオウンドメディアを始めるべきなのかを検討することは極めて重要な検討プロセスです。
誰に何を伝えていくのか?
ECサイトのメディア化で有名な株式会社クラシコムの「北欧、暮らしの道具店」をご存知でしょうか。「北欧、暮らしの道具店」のメインターゲットは北欧の雑貨や暮らしに興味があるユーザーですが、「何を伝えていくか」に非常に強いこだわりがあるサイトです。MarkeZineさんが2014年2月に代表の青木社長に行われたインタビューが非常に参考になるので、そちらのインタビューから一部抜粋させていただきました。
“セーノらの場合は、ある意味では買いにくさを演出してでも、面白さを優先するということもあるわけです。なぜなら、セーノらのお客様は楽しみたくてサイトに来てくださるのであって、便利に買い物したくて来られているわけではないからです。お客様の主な目的である『楽しむ』を邪魔するなら、その便利さはかえって逆効果だからです。”
“実店舗の世界では、娯楽的な商品を売るお店が、楽しい買い物体験を演出するために便利さを多少犠牲にしてでもさまざまな手を打つことは、ごく普通のことです。ECだけが便利さやスピードが最優先だとは思えないですよね。”
読み手にどんなコンテンツを優先して提供していくかについて非常に明確な戦略を持って取り組まれていることが伝わってきます。何を優先し、何を諦めるのかを明確にしたサイトは読み手である読者を惹きつけます。
ターゲットユーザーに対するコンテンツプランは明確か
こちらについては、「失敗しないコンテンツプランニング方法を徹底解説」を参考にしていただければと思います。サイト全体のテーマ設定から、コンテンツページを制作する上でのキーワード選定のコツなどのコンテンツプランニングについて、具体的な作業手順も含めて詳しく解説してあります。読んでいただくと分かるのですが、「ライターさんに毎月適当に記事を書いてもらう」というオウンドメディアの運用スタイルでは到底成功しないことが分かるかと思います。
ゴールはどこか
オウンドメディア運用のゴールをどこに設定するかは、日々のコンテンツ制作に非常に大きな影響を及ぼします。上述の「北欧、暮らしの道具店」では、自社製品を買ってもらうということには重きを置いていません。あくまで、読み手に楽しんでもらうことをゴールに置いて運営されています。よって、日々のコンテンツ制作では、「買いにくさを演出してでも、面白さを優先する」ということもあるわけです。この運営方針をブラさずにコンテンツを生み出していくことで、自社のオウンドメディアを好きになってくれるファンが徐々に増えていき、定期的にサイトを訪れてくれるわけです。逆にゴールが曖昧なままオウンドメディアを運用することで、首尾一貫しないコンテンツが垂れ流され、結果としてファンが増えていかない数多くあるメディアの1つとして埋没していきます。
バズる記事は狙わない
狙って記事をバズらせることは非常に難しいです。ある程度のコツのようなものはありますが、毎回必ずバズるとは限りません。その他にバズらせやすい手法の1つとして、炎上マーケティングがありますが、炎上マーケティングはリスクが高く割に合いません。読み手の価値観を刺激することで、一時的に流入が増えることはありますが、一時的に増えた流入は結局時が過ぎれば元に戻ってしまうからです。更に、炎上マーケティングにより一時的に増えたユーザーからは、ネガティブな反応やコメントが寄せられることが多く、せっかく定期的に来てくれていた固定ファンを離してしまう結果にもつながります。
まとめ
「オウンドメディアはソーシャルメディアと同様に、始めるのは簡単です。ただし、始めた後に運用も何となくで記事を投稿し続けても期待している成果を得ることはできません。」とお伝えしましたが、世の中にあるこの事実に目を向けずにただひたすらにコンテンツ発信し続けてしまうオウンドメディアもありますが、そういったコンテンツはソーシャルメディア上で共有されず、オウンドメディアのソーシャル化にはほど遠い結果に終わってしまいます。
オウンドメディアを始められる際は、ここでもご紹介したようなポイントを是非検討していただき、運用するからには是非メディアとして成功していただきたいと考えています。そのためにも、論理的な手順はもちろん、「国内の成功事例から学ぶ、オウンドメディア成功のポイント」などの様々な事例も参考にしていただければと思います。