ポケモンGO国内配信から見る任天堂のマーケティング戦略
本日、国内配信が始まった「ポケモンGO」。
配信前からテレビ・SNSをはじめとした各種メディアで注目を集めていましたが、
配信開始までの流れや各種ブランドとの連携から、任天堂のマーケティング戦略が見え隠れしています。
そこで今回の一連をマーケティング戦略の面から見ていきたいと思います。
ポケモンGOとは?
ポケモンGOは日本で1996年に発売された「ポケットモンスター 赤・緑」から、今年で実に20年の歴史を持つポケモンブランドの最新策となります。
このポケモンGOは従来のニンテンドー3DSではなく、無料スマホアプリとしての公開で「実世界とポケモンの世界がリンクする」ことが大きな特徴となっており、
今回の販売元となっているアメリカのNiantic, Inc.という会社が以前開発し、社会的大ブームを起こしたスマホアプリIngressの技術を応用することで実現した作品です。
今回、この新プロジェクトの開発を手がけるのは、Googleの社内スタートアップから始まったNiantic, Inc.です。
更に、ポケモンの世界観をしっかりと表現するために、株式会社ゲームフリークの増田順一氏も参画しています。そして、スマートフォンの画面を見続けなくても『Pokémon GO』を遊べるデバイス、Pokémon GO Plusの開発・製造協力として、任天堂株式会社が参画しています。
このように、本プロジェクトは株式会社ポケモンだけでなく、Niantic, Inc.、増田順一氏、任天堂株式会社をはじめ、さまざまなパートナーとともに進めていくプロジェクトとなっています。
と公式アナウンスにあるように、ポケモンブランドが全精力を上げてこのゲームの開発に取り組んできたことが分かります。
※追記:記事執筆中にPokémon GOのプロモーションサイトが更新され、配信開始日の表示が削除されました。(以下は更新前のキャプチャ)
Googleトレンドから見る人気の推移
上記の推移を見ると2016年7月に突然注目度が高騰しています。
しかし、もう少しよく見ると2月末頃からほんの少しだけ検索ニーズが動き出していることが分かります。
この「ポケモンGO」はニンテンドー3DS機の「ポケモンZ(予想)」と合わせ、ポケモン20周年記念日である2016年2月27日に公開されるのではないかと噂されていました。
しかしそれはあくまでポケモンユーザの間であったのですが、先行販売された海外での様子がテレビなどのメディアで報道されるようになり、今回の急高騰につながりました。
国内配信が海外より後
理由としては、
- 販売元がNiantic, Inc.となっていること
- 国内のアプリ規制による問題
- 国内ポケモンユーザが多いためのサーバ負荷分散
など諸説ありますが、ポケモンGOは国内よりも海外での配信が先になりました。
そのため国内では海外で社会現象化するポケモンGOの魅力を見せつけられ、
なんで各国はポケモンGOはじまるのに日本まだなんだろ、遅いんだろ、、
日本進んでるし、任天堂って日本じゃないの、、まだなのかな…はよやりたい— 真田遼 (@ryoharu) 2016年7月19日
ポケモンGO早くやりた過ぎてイライラしてきた、なんで日本が最初じゃねえんだよ元祖たる日本が海外勢に遅れをとってしまうじゃないか!!
— ドゥフト (@yagamikazuki) 2016年7月14日
などtwitterでもどかしさを訴えるユーザも多数。
しかしこうした「待て」の状態がユーザの興味をひきたて、従来のポケモンファン以外の層にも興味を与えることができたのではないでしょうか。
配信日を明確にしない
またポケモンGOは、これだけ注目されているゲームなのに配信日が公開されませんでした。
配信が行われた本日2016年7月22日現在も、『Pokémon GO』公式サイトの配信開始日は”2016年予定”と記されています。
※追記:記事執筆中にPokémon GOのプロモーションサイトが更新され、配信開始日の表示が削除されました。
これは国内先ほども触れた「ポケモンユーザが多いためのサーバ負荷分散」のための対策という説が一般的ですが、ここ数日「リーク」や「デマ」が横行していたため毎日配信情報を確認していたユーザも多数おり、結果的にユーザの興味をつかんで離さないマーケットを作りだしています。
本シリーズへの導線を意識した配信タイミング
また、ポケモンブランドは本シリーズ最新作として今年2016年の11月に「ポケットモンスターサン」「ポケットモンスタームーン」の発売を発表しているため、
20周年記念日を避け、今回の配信タイミングとなったのはメイン収益源である本シリーズの販売拡大を狙ったものと考えられます。
その面では、無料アプリである「ポケモンGO」は熱烈なポケモンファンを育てるリードナーチャリングの役目を果たしていると言えます。
リードナーチャリングについては「リードナーチャリングとは?基本からシナリオ作成のポイントまで」で詳しく紹介しているのでぜひご覧ください。
まとめ
この記事ではポケモンGOの配信に関する一連の動きから、株式会社ポケモンや任天堂株式会社のマーケティング戦略について触れてきました。
意図して行ったと考えられる施策や結果的に得られた効果など、複数の要因がみえる今件ですが、自社のマーケティング活動のヒントが多く見つけられたのではないでしょうか。
ぜひ今回の一連を「ただのニュース」で終わらせることなく、上手に活用していって欲しいと思います。