デザインでも魅了するオウンドメディアの事例5選
魅力的なオウンドメディアにするためには、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを届け続けることが最も効果的な方法です。それは言い方を変えると、コンテンツにしっかりとした価値が備わっているのであれば、魅力的なデザインにこだわることで+αの価値をメディアにもたらすことができます。オウンドメディアは比較的どのメディアも大枠のレイアウトは同じで(パターンに限りがある)、色味や細部のデザインで変化を付けていることが多いのですが、今回ご紹介する5つのオウンドメディアについてはそのデザインが他社と比較してインパクトのあるメディアをご紹介していきます。
Contents
オウンドメディアのデザインについて
オウンドメディアのデザインに「成功パターン」というものはありません。大切なのは、コンセプトに合ったデザインテイストにするということです。コンテンツを主とすれば、デザインは副次的なものです。副次的なものとは言え、それらのデザインがコンセプトとかみ合えば、読み手であるユーザーの印象に強く残るオウンドメディアとなります。
よって、デザインでユーザーの印象に強く残るオウンドメディアは、このコンセプトとデザイン、更にはコンテンツの中身が全てトータルでかみ合っているメディアだと言えます。それを踏まえた上で、各メディアがどんな風にコンテンツのコンセプトをデザインに落とし込んでいるのかを見ていきましょう。
商品カラーを最優先したデザインのオウンドメディア「キューピーマヨネーズキッチン」
https://www.kewpie.co.jp/mayokitchen/index.html
コンテンツの特徴
キューピーマヨネーズでおなじみのキューピーが提供している、マヨネーズを使った料理のレシピを公開するオウンドメディアです。「なすとツナマヨの重ね焼き」や「鶏むね肉のカレーマヨ焼き ブロッコリーと粉ふき芋添え」など、とにかくマヨネーズを使った料理コンテンツがふんだんに紹介されています。レシピのコンテンツだけではなく、動画を用いたコンテンツもあるのも特徴の1つです。どこを切り取ってもマヨネーズの料理コンテンツだらけなので、当然ながら「マヨネーズ お肉 料理」などの検索キーワードで検索するとサイトが上位に表示されます。「マヨネーズを使ったおいしい料理を作りたい」というユーザーの検索ニーズを取り込む戦略が奏功している形ですね。
デザインの特徴
ご覧の通りキューピーマヨネーズの色味をそのままサイトのデザインに反映させています。百聞は一見にしかずなので、是非サイトを一度ご覧いただきたいのですが、一度見ただけで印象に強く残るデザインなのが分かります。細部もこだわりをもってデザインをされており、右サイドのメニューについても背景色をマヨネーズの色と合わせているのが分かります。日々マヨネーズを料理に使っている女性が、このオウンドメディアの中でレシピを探しているうちに、意識・無意識にキューピーマヨネーズのデザインイメージが更にすり込まれると言っても良いでしょう。
漫画風のイラストをちりばめた電子工作関連のオウンドメディア「Device Plus」
コンテンツの特徴
半導体メーカーのロームが運営するメディアサイトです。電子工作の解説やロボコンをはじめとしたイベントレポートなどのコンテンツがあります。例えば、「Arduinoでモーター再入門(その2)サーボモーターを遠隔で制御する!」などのように少々専門的なコンテンツもあれば、「第一回 関東春ロボコンレポート(後編)〜勝ち続けるために…ロボコン主催校代表インタビュー」などのように実際に学生さんにインタビューをしてコンテンツを作るコンテンツもあります。このようなインタビュー記事は、企業や個人がコピーをしづらいので、非常に効果的なコンテンツ戦略だと言えます。
デザインの特徴
コンテンツ記事の内容や「エンジニアライフにプラス1の情報を」というコンセプトからも想像できる通り、エンジニア向けに装飾は極力削ったようなデザインとなっています。ただし、電子工作や半導体など、ややもすると冷たい印象になってしまうところを、漫画風のイラストを随所に入れ込むことで面白い雰囲気や温かい雰囲気をユーザーに感じてもらおうという努力も垣間見れます。また、「第58回 Arduinoでモーター再入門(その2)サーボモーターを遠隔で制御する!」のように、実際に写真を自分たちで撮って、丁寧に手順を説明するスタイルは、ユーザーの理解度促進に大きく貢献します。こういった借り物ではない写真へのこだわりは、デザインクオリティを大きく引き上げます。
古風な紙デザインを意識した文書管理のオウンドメディア「文書管理虎の巻」
https://www.document.suzuyo.co.jp/toranomaki/
コンテンツの特徴
文書管理方法というニッチな分野についてまとめられているオウンドメディアです。例えば、「バラバラな契約書の管理方法を統一する時のポイント」や「こうすればすぐに探せる!不動産賃貸借契約書のファイリングのポイント」など、文書管理のノウハウについてのコンテンツが多く見られます。運営会社である鈴与がクライアントへのコンサルティング経験の中で得た気付きをコンテンツにしているので、読み物としては非常に濃い文章になっているのが特徴です。
デザインの特徴
文書管理のノウハウについてのコンテンツという特徴を踏まえて、デザインも紙を意識したデザインになっています。紙と一口に言っても、デザインの反映の仕方は様々なパターンが考えられます。このオウンドメディアでは、「文書管理虎の巻」というタイトルと関連させて、巻物というデザインコンセプトに落とし込んでいます。背景色についても、和紙をイメージした色味や雰囲気にしたり、アイコンに判子を用いるなどして、全体的に古風なデザインになっています。デザインからユーザーに最も意識させたいことは、「虎の巻」=「ノウハウ」という部分でしょうが、もう1つ2つデザインを工夫する余地は残っているように思います。
細部のデザイン1つ1つにこだわりがあるオウンドメディア「LIG」
コンテンツの特徴
contyでも何度か紹介したLIGのオウンドメディアです。LIGのコンテンツはとにかくインパクトがあるため、一度ならずも記事を読んだことがある方も少なくないのでは。例えばですが、「社長の愛車を「痛車」にしたら、大変なことになりました。」「「脱いだら家族になれた」写真家ヨシダナギがアフリカの裸族を撮り続ける理由」「楽チン!上司に命令して、家から一歩も出ずに肝試しをしてみた」など、タイトルを見るだけでクリックしてみたいという気持ちにさせるコンテンツが多いのが最大の特徴です。何となく外部のフリーライターに依頼している、というコンテンツ構築体制では絶対に追いつけないでしょう。自社で徹底的に企画を練り、それを優秀なライターと編集者で積み上げていく体制が想像できます。
デザインの特徴
写真やバナーの1つ1つに並々ならぬメディアコンセプト(面白い、オリジナリティ)が感じられるデザインのオウンドメディアです。通常は有料の写真メディアから写真を購入して、それをPhotoshopなどの加工ソフトを使って編集して終わりです。ところが、LIGではバナーやメイン画像を作るために、わざわざ自分たちでオリジナルの写真を撮っていることがサイトから分かります。バナーだけではなく、コンテンツ内の写真についても同様です。コンテンツにマッチするデザインを自分たちが自ら用意することで、他のサイトには真似ができない世界観を作ることができます。LIG以外のサイトであったとしても、「これはもしかしてLIGのコンテンツなのかな?」とイメージしてしまうデザイン力はさすがと言えます。
キャラクターデザインを活かした住まいに関するオウンドメディア「suumoジャーナル」
コンテンツの特徴
リクルート住まいカンパニーが提供する住まいや暮らしに関するコンテンツを提供するオウンドメディアです。例えば、「空き家だった150年前の祖父母の家を解体。古材を使って一戸建てを新築」などのようにキャッチーなタイトルで読み手を引き込むコンテンツもあれば、「これから一戸建てを買う人は知っておきたい、耐火建築物ってどんな建物?」などのようなお役立ち系のコンテンツもあります。住まいのコンテンツを核にしながらも、地域やマネーなど少し幅広い領域までコンテンツの提供範囲を広げたオウンドメディアになっています。
デザインの特徴
オウンドメディアのレイアウトについては、特に目立った特徴を感じさせるデザインにはなっていません。ただ、グローバルナビやテキストリンクにマウスオーバーさせると、同社のキャラクターであるスーモと同じカラーが設定されていることに気付きます。また、サイドバーの「人気記事ランキング」も同様に緑色を使っているものの、オウンドメディア自体にスーモのキャラクターを多用しているわけではありません。キャラクター推しのデザインにしてしまうと、オウンドメディアそのものよりも、スーモのサービスを連想しすぎてしまうユーザーが増えてしまうと懸念したからではないかと推測できます。
おわりに
デザインはオウンドメディアにおけるスパイスのような役割ですが、料理(コンテンツ)がしっかりと作れていれば、スパイスの効果はてきめんです。まずは自社オウンドメディアのコンテンツをこだわりを持って作り込みつつ、よりユーザーに受け入れられるデザインが何なのかを探していきましょう。