スマホアプリのアクセス解析をするとき、Web担当が注意すべき3つの違い
最近ではWebサイトとあわせてスマホアプリ(※ここでは、いわゆる開発を伴うネイティブアプリを指します)の提供をはじめる企業が増えていきています。実はスマホアプリのアクセス解析、Webサイトのアクセス解析と違うところが意外と多いんです。この違いを意識しないままモバイルアプリの開発を進めてしまうと、スマホアプリの効果測定がうまくできないという事態になりかねません!
そこで普段GoogleアナリティクスでWebサイトのアクセス解析をしている方に向けて、スマホアプリとWebサイトのアクセス解析における基本的な違いをまとめました。Webサイトのアクセス解析ではあたりまえにできていたことが、意外とスマホアプリではできない、ということもあります。これからスマホアプリの開発を考えているという方は、あらかじめ3つのポイントはチェックしておきたいところです。
Contents
(1)Googleアナリティクスでスマホアプリ分析をするときの初期設定方法が違う
Webサイトの場合、各ページにGoogleアナリティクス用のタグを入れれば測定できるようになります。WordPressなどCMSを使っている場合、制作会社へ依頼せずWebサイト担当者ご自身でタグを設定しているという方も多いかもしれません。
スマホアプリのアクセス解析も、Googleアナリティクスで行うことは可能です。ただ測定するためには、タグを入れるのとは別の方法で初期設定が必要なんですよね。具体的にはSDK(Software Development Kit)と呼ばれるファイルをアプリに組み込む必要があります。
Googleアナリティクスの場合、「Firebase」と呼ばれるプラットフォームを利用してアプリにSDKファイルを組み込むのが基本。つまりスマホアプリを開発する時点で、開発業者へ事前にこの設定を依頼しておく必要があるというわけです。もし独自開発ではなくアプリ開発ツールを利用する場合は、ツールの提供元に設定方法を確認しておきましょう。
スマホアプリでは、Webサイトの初期設定のようにWebサイト担当が自分で行うというわけにはいきません。ここは大きな違いではないでしょうか?ちなみにGoogleアナリティクス側でもスマホアプリのアクセス解析をする際に初期設定を行っておく必要があります。
参考ページ
モバイルアプリ向けのアナリティクス(Googleアナリティクスのヘルプ)
(2)スマホアプリのアクセス解析は、見るべき項目(指標)がWebサイトと違う
Webサイトのアクセス解析というと、サイト全体やページ単位でPVやセッションといった数字を見てアクセス状況をチェックするのが基本ですよね。でもGoogleアナリティクスのスマホアプリ版では、PVやセッションではなくユーザー単位という考え方がベースになっています。Webサイトのアクセス解析に慣れている方は、特にこの違いに戸惑うケースが多いようです。
Googleアナリティクスのスマホアプリ版で表示される4つの項目
- イベント
- コンバージョン
- ユーザープロパティ
- ユーザー
「イベント」とは、スマホアプリ内の広告をクリックしたときなどのデータのこと。デフォルトで自動収集されるイベントもありますが、例えばプッシュ通知など独自に取得したいものはパラメータ設定を追加しておく必要があります。「コンバージョン」や「ユーザー」については、Webサイトとほとんど同じと考えていいと思います。
一方「ユーザー」はWebサイトと少し違いがありますので要注意。スマホアプリの場合、アプリをインストールしただけでその後ほとんど使っていないという人もそれなりいるのが普通ですよね。そのためスマホアプリでは、アクティブユーザーかどうかが重要になってきます。そのため「DAU」(1日あたりのアクティブユーザー)や「MAU」(1か月あたりのアクティブユーザー)といった指標を使うのが一般的です。
またWebサイトのアクセス解析では、基本的にページ単位でどのページが読まれているかなどをチェックすることが多いと思います。一方でスマホアプリのアクセス解析では画面(スクリーン)単位が基本のため、GoogleアナリティクスでもPVではなく「スクリーンビュー」という項目になります。
(3)流入元が違うため、集客効果の測定方法がWebサイトとスマホアプリでは全然違う
SEOやWeb広告などの集客効果を見るため、Webサイトのアクセス解析では流入元を見るという方も多いはず。スマホアプリでは、基本的にアプリストアを経由してユーザーがアプリをインストールするという流れです。そのため集客効果を測るためには、アプリそのものではなくアプリストアのアクセス状況を見る必要があります。
Apple(iOS)の「App store」やGoogle(Android)の「Google Play Store」では、それぞれアプリ提供者向けに効果測定ツールを提供していますので、こうしたツールを使って効果を見ていくことになります。なお「Google Play Store」はGoogleアナリティクスと連携させることができますので、あらかじめ連携させておけばGoogleアナリティクス側でも集客関連のデータを見ることは可能です。
例えばAppleのアプリストア「AppStore」のアクセス解析ができるツール「App Analytics」では、下記の項目を見ることができます。
App Analyticsで見られる項目(例)
- 自社アプリアイコンの表示数(インプレッション)
おすすめや検索結果に自社アプリアイコンが表示された数 - 参照元Webサイト(流入元)
- 自社アプリのプロダクトページにどこから来たかという流入元がわかります。※プロダクトページはアプリの説明やインストールボタンが載っているページ。
- 自社アプリプロダクトページの閲覧数
- アプリのインストール数、削除数
参考ページ:https://developer.apple.com/jp/app-store-connect/analytics/
スマホアプリの場合、インストール数を増やすためには流入元の分析と合わせてどのステップでユーザーが離脱しているか(インストールに到達する前にあきらめているか)ということを調べるのも重要です。
なおスマホアプリでは検索エンジンではなく、アプリストア内の検索がメインです。そのためSEOではなく、ASO(App Store Optimization:アプリストア最適化)と呼ばれます。Google Play のツール「Google Play Console」では、アプリストアで検索されたキーワード単位での効果測定ができるようになっています。Webサイトの集客効果を見る場合とは指標がだいぶ違いますので、注意しておきたいポイントです。
スマホアプリ専用のアクセス解析ツールを利用する人も多い
AppleやGoogleのツールだけではなく、スマホアプリ専用のアクセス解析ツールを導入しているところも多いようです。日本でも「App flyer」や「Ajust」といったアクセス解析ツールがよく知られています。
こうしたアクセス解析ツールは有料ではありますが、詳細なマーケティングデータが取れるというのがやはり大きなメリット。ただしアプリ開発サービスを利用する場合、導入できるアクセス解析ツールが限られていることがあります。あらかじめ確認しておきましょう。
スマホアプリのアクセス解析は、開発する前に検討しておくことが重要!
インターネットへのアクセスも、もはやPCよりスマホが主流という時代。Webマーケティングにおいてもスマホアプリの存在感は大きくなっていますよね。Webサイト担当がある日突然スマホアプリの開発や運用を任される…なんてこともよくある話です。
アクセス解析のやり方も大して変わらないかな?なんて思っていると必要なデータが取得できない…なんてことになるので注意しましょう。まずはスマホアプリとWebサイトのアクセス解析における基本的な違いを知っていれば、大きな失敗は防げるはずです。また重要なポイントになってくるのが、スマホアプリを開発するタイミングでアクセス解析についても検討しておくこと。どんなアクセス解析ツールを導入するか、どんな指標を見るべきかについて、事前にしっかり準備しておきましょう!